代表者印(丸印)・銀行印・角印(認印)の捨て方
会社印鑑の廃棄方法~使わなくなった法人印を処分する時の注意点~
「新しい会社印鑑セットを購入した、今まで使っていたものはそのまま廃棄してもいい?」
「会社をたたむことにしたので、使っていた会社印鑑が不要になってしまった」
など、使わなくなったり・使えなくなってしまった会社印鑑はどのように取り扱いするべきか疑問に思ったことはないでしょうか?
このページでは、会社印鑑の廃棄方法について解説。 どのようなことに注意して処分するべきかをお話ししていきます。
まずは、会社印鑑の種類をおさらいしておきましょう。
本当に廃棄して大丈夫?会社印鑑の種類や用途を再確認
まずは、会社印鑑の種類や用途を再確認しながら、それぞれの会社印鑑を廃棄する際に確認するべき点を併せて解説します。会社実印
会社実印は、会社設立の際に法務局で印鑑登録する会社印鑑のこと。重要な契約を取り交わす際の署名捺印や契印・割印などの押印に使います。会社実印を廃棄する際は、以下の2点を押さえましょう。
- 法務局で印鑑・印鑑カード廃止届書を提出
- 直近で会社実印を使用していた場合は、取引先に連絡
会社実印は最も重要な会社印鑑。会社印鑑の買い替えにより古い会社実印を廃棄する場合は、必ず新しい会社印鑑を用意してから廃棄しましょう。
また、会社印鑑を買い替えて会社実印を再登録しても、廃棄した古い会社実印を使って成立した契約が無効になることはありません。
ただし、直近で契約があり、契約内容に変更の可能性がある場合などは、混乱を招くことがないように対応するためにも、先方に連絡しておくと良いでしょう。
会社銀行印
会社銀行印は、法人口座を開設する際に届出印として手続きする会社印鑑です。口座から資金を移動する際や、小切手や手形を振出する際に使用します。会社銀行印を廃棄する際は、廃棄する前に届出印の変更手続きと連絡を済ませる必要があります。
- 各金融機関で届出印の変更手続き
- 交換されていない小切手・手形がある場合は、取引先に連絡
会社銀行印がないと会社の資金を動かせず、場合によっては取引先に迷惑をかけてしまうので注意が必要です。
会社認印
会社認印(社印・角印)は、請求書や領収証・社内通知など幅広い書類に押印する、会社印鑑の中でも利用頻度の高い会社印鑑です。特定の機関に登録せず、認印として使う会社印鑑なので、実印や銀行印のように廃棄する際の手続きは必要ありません。ただし、トラブルを防止するために、会社認印を変更したい際は取引先に連絡しておくと安心です。
ゴム印・スタンプ
会社の住所などが彫られたゴム印。会社の引越しなどで住所が変更になった場合は、古い住所が記載されたものは廃棄し、新しい会社印鑑を作成し直さなくてはなりません。ただし、組み合わせて使える親子印(組み合わせ印)であれば、不要になった部分だけを廃棄して、新しいものを後から追加して使うことも可能です。
以上、会社印鑑の種類と、廃棄方法について簡単に確認しました。 次の見出しでは、会社印鑑を廃棄する際の詳しい手順について解説します。
ゴミ箱に捨てるのは危険!使わなくなった印鑑の処分方法
使わなくなった会社印鑑を、ただゴミ箱に捨ててしまうのは危険。 それでは、会社印鑑はどう廃棄するべきなのかを見ていきましょう。会社印鑑の悪用を防ぐ廃棄方法とは
会社印鑑を廃棄する際は、会社印鑑の悪用に気を付ける必要があります。廃棄したはずの会社印鑑を悪用されてしまうと、身に覚えのない書類が勝手に作成されてしまうかもしれません。
そのような事態を防ぐためにも、会社印鑑を廃棄する際は、以下のようにして、廃棄する会社印鑑の印影は使用できないようにしましょう。
- 印面を削り落とし、印影が読み取れないようにする
- 木材やアクリルの会社印鑑は印面を焼く
- 強力瞬間接着剤を使い、印面を埋めるか印面を隠すものを張り付ける
最も安心なのは、印面を削り落とすか焼いてしまうこと。こうすれば印影を復元することはできません。
石材、チタンなどの金属の印鑑は、硬いため自分で印面を処理できないことがあります。この場合は、接着剤を使うこともできますが、剥がされた場合など悪用を完全に防ぐことは難しいです。
硬い素材の会社印鑑を廃棄する際は、彫り直しも1つの手段。 彫り直しをすれば、宝石印鑑・チタン印鑑など高級な素材の会社印鑑や、先代の経営者から受け継いだ大事な会社印鑑なども廃棄せずに再利用できるのでおすすめです。
会社実印・会社銀行印の廃止手続き
先ほどもご説明しましたが、会社印鑑の中でも、実印と銀行印は廃棄前に手続きが必要です。そこで、ここでは、実印と銀行印の廃止(変更)手続きについて詳しくご説明しましょう。会社実印
実印として使っていた会社印鑑を廃棄する際は、法務局で手続きを行います。■廃止のみの手続き
管轄の法務局に、印鑑・印鑑カード廃止届書を提出します。
必要なもの
- 廃止する会社実印
- 印鑑カード(発行済みの際)
- 本人確認書類
■新しい会社印鑑を再登録する際
管轄の法務局に、印鑑(改印)届出書を提出します。
必要なもの
- 新しく届出する会社印鑑
- 代表者個人の実印
- 代表者個人の印鑑証明書(発行から3ヵ月以内のもの)
会社銀行印
古い銀行印から新しい銀行印に変更する際は、各金融機関の窓口へ出向いて届出印の改印手続きを行います。 必要なもの
- 通帳
- 古い銀行印
- 新しい銀行印
- 本人確認書類
小切手・手形を振出している際の具体的な手続きは、金融機関によって異なるため直接ご確認ください。
なお、改印手続きは原則として代表者本人が行います。また、基本的には、改印手続きは即日完了します。
ご自身で会社印鑑を廃棄するのが難しい際は、信頼できる印鑑店に会社印鑑を処分してもらう方法もあります。
また、思い入れのある会社印鑑については、神社などで印鑑供養してもらう経営者の方もいるので、ゴミとして捨てることに抵抗がある際は参考にしてみてはいかがでしょうか。
悪用を防ぐ!会社印鑑の正しい廃棄方法まとめ
使わなくなった会社印鑑は、悪用されないように廃棄することが重要です。最後に、素材別の廃棄方法をまとめました。
- 木材・アクリル材:
カッターで削るか燃やしてから廃棄する - 柔らかめの角材:
金属製のやすりなどで印面を削り落としてから廃棄する - 硬い石材・金属材:
自身で処理するのは難しいので、印鑑店に処分してもらうか彫り直しをする - ゴム印・スタンプ:
ゴムの印面をカッターで削ぎ落し切り刻んで廃棄する
中には、印鑑を廃棄する際、紙や布などで包んで印鑑とは分からないようにしてから捨てる人もいます。
しかし、このような捨て方は、印鑑そのものはまだまだ使える状態ですから、万が一悪意を持った人物の手に渡ってしまえば、悪用されてしまう可能性も。
そのため、まずは会社印鑑の印影を読み取れないように加工し、各地自体の分別ルールに従って廃棄してください。
また、会社印鑑セットを廃棄する場合は、同じタイミングで捨てるのではなく、1本ずつバラバラに廃棄するほうが安心です。 面倒でも、細心の注意を払って会社印鑑を廃棄してくださいね。
会社印鑑を買い替える方への参考ページ:
会社印鑑の作成方法>>