資格印(先生印・肩書印)は公的なはんこ?
職印と公印の違いとは~それぞれの印鑑の定義と利用方法~
会社で使う書類や、行政手続きを行う際に「職印」や「公印」を捺印するように言われることがあるかもしれません。
そうは言っても「職印や公印がどのような印鑑を指すのか分からない」「結局どのような印鑑が必要なのだろう」と迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
職印や公印には複数の定義があり、相違点と同じ解釈ができる部分があります。
いざという時に迷わないように、職印と公印の違いやそれぞれの意味を整理して、印鑑を適切に使用し、対応できるスキルを身に付けましょう。
職印とは
職印と公印の違いを解説する前に、まずは職印の定義から解説していきたいと思います。職印の定義は、印鑑を販売する専門店の定義と、コトバンクなどの辞書に載っている定義とで違いがあります。
まずは、印鑑専門店における職印の定義から見ていきましょう。
印鑑専門店の定義
印鑑を販売する専門店では、職印とは「弁護士、司法書士などの士業に携わる方が使用する印鑑」のこと。職印の印影には「弁護士〇〇之印」などの資格名が入ります。
弁護士・司法書士・行政書士の方の場合、名簿に登録する際に職印を届け出なければいけないという規則があるため、職印の作成が必須。
税理士などその他の士業に携わる方は、必ず職印が必要という規程はありませんが、業務上、資格保持者が承認したということが分かりやすいように、認印(登録していない)印鑑として職印を作成することもあります。
辞書の定義
辞書における職印の定義は、印鑑専門店の意味よりも広義です。コトバンクの解説による職印の定義は、以下の通り。
責任ある職にいる者が職務で利用する、その職名を刻んだ印鑑
その他のサイトでは「公的な職務にある者が職務上使用する、職名を記した印鑑」とも定義されています。
「職名を刻んだ印鑑」と言うと、先ほどご説明した士業の方の職印はもちろん、会社などの役職も含まれます。
そのため、「〇〇株式会社 部長之印」のように、社名と役職名が入った法人印鑑を「職印」と呼ぶ会社も。
ちなみに、印鑑専門店では、士業の方の印鑑(職印)と区別するため、このような役職名が入った印鑑は「役職印」と表記することが多いです。
次に、公印の定義を確認しながら、職印との違いを解説していきましょう。
公印とは
コトバンクでは、公印を次のように解説しています。
- 公務で使用する印鑑
- 国や地方公共団体が使用する印鑑
公印は、私達にとって身近である、以下のような書類にも押印されています。
- 運転免許証
- 健康保険証
- 住民基本台帳カード
- マイナンバーカード
- 住民票
このように、身分証や公的な申請書、公文書などが、所定の機関によって発行された正当な書類であることを証明するために、公印が押印されるのです。
ただし、公印は、文字通り「公(おおやけ)の印鑑」として幅広い意味に解釈できるため、職印と公印がほぼ同義語として使われる場合も。
例えば、市役所印などの自治体名を記した印鑑と、市長印や副市長印などの職名を記した印鑑は、併せて公印と規程している自治体が多いです。
先ほど「職印=職名を記した印鑑」であることをご説明しましたが、役所などの公的機関においては、職印と公印は区別されておらず、基本的には職印も公印とみなされていると言えるでしょう。
そのため、公印とは、国立大学や市区町村などが団体として捺印する印鑑や、その団体に所属している公務員の方の肩書が入った印鑑であると解釈できます。
職印と公印の違いのまとめ
最後に、ここまでご説明してきた職印と公印の違いを、以下にまとめました。 職印と公印の違い
- 職印には、「士業の方が使用する印鑑」「印影に職名が篆刻されていて、職務で使用する印鑑」という2種類の意味がある
- 公印は、公務で使用する印鑑を指す
- 公的機関の職名が書かれた職印は、公印の一部とされている
以上を参考に、職印と公印の違いを理解しておくと良いでしょう。
関連記事
・職印の作り方のポイント